みらいエデュテインメント財団 MIRAI EDUTAINMENT FOUNDATION

MIRAI EDUTAINMENT FOUNDATION

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2026.2.27

【One Young World Summit 2025 帰国報告会】
ドイツで見つけた未来への道標。大学生5名がOYWで得た一生ものの学びとは

みらいエデュテインメント財団(以下、当財団)は、互いの違いを尊重しあえる社会の実現を目指し、日本に暮らす若い世代の異文化交流を支援しています。

2025年度はその活動のひとつとして、毎年世界で開催地を変えて行われている、次世代リーダーの育成と国際交流を目的とした世界最大級の国際フォーラム『One Young World Summit(以下、OYW)』への参加者を一般公募し派遣しました。


▼OYWならびに当財団の派遣活動について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://mirai-edutainment.jp/news_250620.html


当財団では、書類と面接による選考を経て決定した参加者に対し、現地で経験と学びを深めていただくべく、サミットの参加費用や滞在費、渡航費などを全面的に支援。2025年のOYWは11月3日から6日にかけてドイツ・ミュンヘンで開催され、当財団からは18歳〜21歳までの大学生5名を派遣しました。

彼ら、彼女らがOYWでどのようなことを学び、何を考えたのか。
それを発表する『One Young World Summit 2025 帰国報告会 』を2025年12月11日、株式会社アミューズの東京オフィスにて行いました。本稿では、その模様をレポートします。

‟世界のリアルな現状”を体感した4日間

帰国報告会は当財団の関係者はもちろん、アミューズや一般社団法人One Young World Japan Committeeからも聴講者が参加。これから始まる発表に熱い視線を注いでいます。

まず、参加者を代表してアミューズグループから派遣された丹野将大さんよりOYWの総括報告がありました。丹野さんによれば、2025年のOYWでは、特に「循環型経済」「反差別」「テクノロジーと責任」「教育」「平和と安全保障」の5つをキーワードとして、セミナーやトークセッションなどが行われたといいます。今なお続くガザ地区での紛争問題など、リアルタイムで起きている社会問題を各国の人たちがどのように捉えているのか。そうしたことも含め、‟世界の今”をまざまざと感じ、考えることのできるサミットだったようです。

慶応義塾大学 田代明衣
AIとデジタル社会、教育について考え、人生の目標が変わった

アミューズグループから派遣された参加者たちの発表を終え、当財団の派遣メンバーからまずは田代明衣(たしろ・めい)さんが登壇しました。田代さんは、慶應義塾大学法学部法律学科の1年生。国際政治やメディアについて学んでおり、平和活動への関心から、OYWに参加することを決めたといいます。

発表の冒頭、田代さんは「AI」をキーワードに、2025年に起こった社会の変化と今後の社会の予測に言及。OYWの中でも、世界に大きな影響をもたらしたAIや先端テクノロジーに関して、活発な議論が行われたと報告しました。

そうしたAIへの関心度の高さから、田代さんはOYWの期間中、AIにまつわる様々なセミナーやディスカッションに参加。「デジタルと人間はどう繋がるべきか」「AIとコラボレーションし、社会課題をどう解決すべきか」を考えたと、現地での思考過程を明かしました。

いくつも参加したというセミナーの中で、田代さんが最も感銘を受けたというものは3つ。
まず、国連児童基金(UNICEF)理事 Thomas Davin氏の講演では、世界の教育事情について学び、「デジタル社会における平等な学習機会の必要性」を痛感したといいます。そして、2021年のノーベル平和賞受賞者であるMaria Ressa氏の講演では、現代社会が情報のアルマゲドンとなっていること、情報の誠実さの有無が全ての争いの根源であることを知り、「正しい情報を精査し、まずは行動を起こすこと」の大切さに思いを巡らせたそうです。さらに、テクノロジー分野での女性活躍を推進する教育テック企業 Imagiの創設者Dora palfi Osika氏の講演からは、AIが広がる中で「数学的教育の供給が様々な問題解決を促す可能性」を感じたといいます。

OYW参加者と自由に議論を繰り広げられる「Action Circle」においても、「AIとデジタル社会に関する議論が多かった」と語った田代さん。昨今世界的に沸き起こっている若い人の政治参加を抑止する風潮や、政治的なプロパガンダの発信を抑制する方法などについて、現地で様々な意見が上がったことを伝えました。

そのような学びを経て、田代さんは今後の目標に大きな変化が生じたと語ります。以前は外交関連の仕事で社会に貢献したいと考えていたそうですが、現在は世界の多くの人が「人生を変えられるような経験」にアクセスできる未来を築くべく、数学を学べるゲームの開発や大学生同士の学びの場「Student Gate」の活動改革、OYWを通じて繋がった人たちへのインタビュー活動などを構想しているとのこと。数十年後には「多くの人が数学や機械を学べる場所を作る」「目標や情熱を引き出す機会を多くの人に提供する」という目標を達成していたいと話し、報告を終えました。

上智大学 相原侑汰
環境問題を多くの人の「自分事」にするために。OYWで得た気づき

続いて登壇したのは、上智大学3年生の相原侑汰(あいはら・ゆうた)さんです。高校生の頃から環境問題に高い関心を寄せていたという相原さんは、問題の解決に向け、若者としてどのようなことができるのかを考えるためにOYWへの参加を決意したといいます。

相原さんがOYWの会場で注力した活動は、「Action Circleへの参加」「セミナーの聴講」「OYW参加者との交流」の3つです。相原さんはその中で得られた学びについて、ひとつひとつ丁寧に言葉を紡ぎ、説明していきました。

まず言及があったのは、「成果創出の法則」についてです。相原さんはセミナーの聴講やOYW参加者との交流を通じ、成果を生み出した各界のトップランナーの共通項を見出したと語ります。成果を残すための土台となるのは、自らが取り組む課題やテーマに対するパッション。熱意に広い視野と教養が掛け合わさることで、課題解決に向けた活動の幅が広がっていくといいます。また、問題の解決に向けて他者を巻き込むためには、自分にしか語れないことを自らの言葉で伝えていく「ストーリーテリング」のスキルも必須に。さらに、物事を実際に動かしていくためには、「あなたも問題の当事者である」と相手に訴えかけ、行動を引き起こす「交渉力」も欠かせないと強調します。

そうした気づきがあった上で、相原さんは海洋保全をテーマとしたAction Circleへの参加を通じ、分野のはざまにある課題の存在や、あえて知識に頼らずゼロベースで問題を俯瞰することの大切さ、人は数字ではなく感情に訴えかけられてこそ行動を起こすという原則を改めて実感。Action Circleでの徹底的な議論の経験は、「問題を多くの人に自分事として捉えてもらうための事実や思いの伝え方を考えるきっかけとなった」と振り返りました。

相原さんは現在、複数の大陸を巡り、気候変動の問題を各大陸の事情をもとに捉え直す映像制作プロジェクトに取り組んでいるといいます。このプロジェクトを通じ、「環境問題に対してポジティブなサイクルを作れたら」と展望を語りました。OYWへの参加を経て、「今の自分にだからこそできることは何なのか、自分が社会にどのように貢献できるのかを考えさせられた」と語る相原さん。今後も「最適解の追求」を意識しながら、環境問題や社会について考えていくことを誓い、マイクを置きました。

College of the Atlantic 唐下希颯
OYWは持続可能な農業の実現に向けたファーストステップ

「私はどこにでもいる学生。だからこそ、等身大の声を届けたい」とスピーチを始めた、唐下希颯(とうげ・ののか)さん。唐下さんは、アメリカのCollege of the Atlanticでコンピューターサイエンスを学ぶ大学3年生です。過去に柑橘農家で農業体験をした際、高齢化や食料廃棄の問題を目の当たりにしたことから、持続可能な農業について考えたいとOYWに参加しました。

唐下さんはOYWの会場に入り、まず参加者数の多さに衝撃を受けたといいます。「大学では全学生が300名しかいない。OYWには約2500名が参加している。それだけの人に出会えるチャンスがあることに打ちのめされた」と、会場で感じた素直な感想を語りました。

そして、Action Circleでの学びの共有へ。唐下さんはまず、社内報告会の聴講者に対し、「日本にある課題を10個思い浮かべてください。それらに対する具体的な解決策を考えてくださいと言われたら、どれくらいの時間がかかるでしょうか?」と問いかけます。それぞれが思考を巡らせる沈黙があった後、唐下さんはAction Circleに参加して多様な人と議論を交わすうち、世界に存在する社会課題の多さを実感し、その解決を目指すには自分がまだ無力であると感じたとコメント。世の中に数多ある課題の解決策を見出すには多くの時間が必要であることをリアルに実感させるスピーチで、聴講者の胸を打ちました。

また、唐下さんは、大学で使用した教材の著者本人と言葉を交わしたり、会場で提供された食事に産地情報などがなかったことから、改めて「食」の大切さを実感したりと、OYWで得たさまざまな出会いや気づきを共有。「私にとってOYWは『持続可能な農業の実現』に向けたファーストステップだったと思う」と語り、日本の食料自給率の低さに触れながら「日本の食文化や農業に革新を起こせるようになりたい」と今後の目標を明かしました。

早稲田大学 佐伯蘭
内省と多彩なアクションに繋がったOYWでの学び

続いて登壇した佐伯蘭(さえき・らん)さんは、早稲田大学国際教養学部の2年生。フィリピンで生まれ、シンガポールとタイで育ったことから、ミャンマー・タイ国境地域を中心に教育問題と無国籍児問題に高い関心を持っているといいます。また、OYWに参加する以前から、学外で問題解決に向けた活動を積極的に展開。これまでにミャンマー・タイ国境地域で無国籍児に対する演劇プロジェクトを行ったり、役者やフォトグラファーとしてイベントやNGOに参加し、タイの教育課題を発信したりしてきました。

そんな佐伯さんがOYWを通じて得た気づきは4つあるといいます。1つ目が、社会課題に対する日本の若者の姿勢について。一般的に日本の若者は社会課題への関心が低く、政治への興味も薄いと言われます。しかし、OYWに参加し、佐伯さんの中でその考えは一変。日本は教育環境が整い、貧困や紛争などの問題が身近ではなく、自分事として想像しづらいために若者が社会課題に関心を向けていないように見えるのではないかと指摘します。そうした実感をもとに、佐伯さんは「問題を知り、その問題に詳しい人と繋がり、試しに行動してみる場やプラットフォームを作ることが大切」と強調しました。

2つ目が、自分の強みや特徴について。OYWへの派遣が決まったことで、自らの強みを改めて考えたという佐伯さん。東南アジアのルーツがあること、複数の言語を話せること、演劇などもできることは自分ならではの強みだと捉えられるようになったようです。また、過去に適応障害とうつ病を患い克服した経験も、OYWに参加する中で「誰かの希望や力に変えられるかもしれない」と希望を持ったことを明かしました。

3つ目が、行動を起こすためには、知識と教育が必要であること。OYWでセミナーへの参加や活動家との対話を通じ、世界の現状に対する知識と教育的なベースが揃ってこそ、問題解決に向けた行動に繋がると感じたといいます。

4つ目が対話の力です。佐伯さんはOYWで様々な人と対話を重ね、紛争など個人の力では立ち向かうのが難しい大きな問題の解決を目指すには、対話の力が欠かせないことを実感。その気づきをもとに、ミュンヘン滞在中、現地の難民施設を訪問し、地元の人が難民に対してどのような思いを持っているのかをインタビューしたことで、改めて「人間が心を持つ限り対話は必要不可欠だ」と確信したと語りました。

OYWでの経験を経て、佐伯さんは帰国後、多彩なアクションを展開しています。早稲田大学でメンタルヘルス分野のワークショップを開催したり、OYWで出会った教育NPOの理事長と教育イニシアチブ RISEを設立し、新たな人材育成プログラムを開始したり、中高生向けの発信活動を行ったりと、自らの強みを生かしながら行動。2027年に東京で開催されるOYWではアンバサダーとして活動するとのことで、佐伯さんの熱意と行動力、社会への想いが国内外の次世代リーダーに広がっていくことに期待が高まります。

Minerva University 川村美妃
「平和のムーブメントをつくる」 人生をかけた目標に向け、OYWでの学びと思考を行動に繋げる

最後に発表を行ったのは、2026年9月よりアメリカのMinerva Universityに進学する川村美妃(かわむら・みき)さんです。川村さんがOYWに参加した目的は、「平和のムーブメントをつくる」こと。その目標に近づくために、OYWでは様々な参加者と対話したそうです。

「OYWは感動の連続でした」と話し始めた川村さん。最も心動かされた瞬間は、招待制の小規模セッションで5名の平和活動家と対談した時間だと語ります。川村さんは2024年のノーベル平和賞受賞者である日本原水爆被害者団体協議会の田中重光氏と山口徹氏、アフリカ史上初のノーベル平和賞候補 Victor Ochen氏、イスラエルの平和活動家 Maoz Inon氏、パレスチナの平和活動家 Aziz Abu Sarah氏とそれぞれ異なるセッションで対談。どの活動家も戦争や紛争などで肉親を失うなどの悲惨な経験がありながら、誰一人として復讐心で行動を起こしていないことに感銘を受けたといいます。川村さんは「彼らの愛を選び続ける生き方を次世代に伝えていきたい。そう強く感じました」と力を込めました。

また、川村さんは、各国の参加者と平和について語り合った際、特にイスラエルとパレスチナ間の紛争に話題が及んだときのことが忘れられないと回想。昨今の情勢からイスラエルへの非難の言葉が相次いでいたところ、イスラエル出身の女性が「政府の行動で一人ひとりのイスラエル人を決めつけないでほしい」と話すと場の空気が大きく変わったというエピソードに言及します。その経験から川村さんは「目の前の相手を尊重することが平和への土台となると感じた」と、OYWで多様な人と関わり合う中で得た学びを振り返りました。

平和について徹底的に学び、考えたOYWを経て、川村さんは帰国後1カ月の間に6個のアクションを起こしたといいます。OYWで得た繋がりをもとに企画し、立ち上げたオンラインでの国際平和教育プログラム「Peace Journey」、OYW参加者に平和について問いかけたインタビュー動画の公開、日本国内の学生を対象とした平和について考えるワークショップの開催、平和について考えるトークイベントへの登壇など、様々な活動を形にしていきました。そうした精力的な活動はメディアの目にも留まり、2025年12月8日には朝日新聞に川村さんの思いや活動内容を紹介する取材記事が掲載に。川村さんは「誰もが平和だと感じられる世界をつくるために、人生をかけて取り組んでいきたい」と結び、報告を終えました。

聴講者の思考や今後の仕事イメージに大きな影響を与えた社内報告会

質疑応答を経て、One Young World Japan Committee代表理事の大久保公人氏、アミューズ代表取締役会長兼社長であり、当財団の理事長を務める大里洋吉より帰国報告会の総括を行いました。

大久保氏は「世界の舞台で五感を最大限に使うことで、その瞬間の驚きや感動が皆さんの教養やアクションに繋がっていく様を目の当たりにした。その積み重ねこそが、人を成長させ、社会を前に進める力になると感じた」とコメント。さらに「日本からOYWに参加したメンバーはこれまでに約700名になり、私は彼らを一つのファミリーだと思っている。志を分かち合い、世代を超えて繋がりながら、30年後、100年後の日本に受け継がれていけば」と、未来への願いを語りました。

続いてマイクを取った大里はまず、「帰国報告会への参加は、会社としてどこへ向かうべきかを考える良いきっかけになっている」とOYW参加者の充実した発表内容に言及。そして、紛争が頻発する昨今の世界情勢に「(近隣諸国とのいさかいも)どうせすぐに解決するだろうと思っている、その油断が戦争に繋がるのではないか」と危機感を抱いていることを明かしました。
「日本では『平和』は当たり前。だからこそ、日本からあえて世界に『平和』について発信していくのがアミューズグループの責任ではないかと感じる。世界中の人たちが平和に思いを馳せられるようなことを、強力に打ち出していきたい」と、展望を語りました。そして最後に、「(発表者の)皆さんが語る青くさいストレートな言葉こそ、心に響くなとつくづく思った。教養も知識もなかった若い頃の青めくパッションを忘れてはいけないと感じた」と、大里はOYW参加者の発表から受けた感動について述べ、帰国報告会は盛会のうちに幕を閉じました。


*この記事内の情報は2025年12月時点のものになります。

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